ソラ参戦に喜ぶ人たちは消費者として淫らだと思ってもいい気がするけど、そんなこともないかも

大乱闘スマッシュブラザーズSPの最後のファイターとしてキングダムハーツシリーズからソラが使用できるようになると、先日発表がありました。いわゆる「参戦!!」というやつですね。
私はスマブラSP自体プレイしないし、別にそんな興味もなかったので結果的には「へー」という感じだったのですが、みんな大好き桜井政博氏のTwitterでは以下のように異例ともいえるアナウンスがあり、私を含むゲーム好きの関心を集めたのは間違いないと思います。

ソラの発表は世間的には大きなニュースだったらしく、私の感覚からとはちょっとずれていたみたいで、そのギャップに少々戸惑いを覚えました。むしろ私は、ゲームの情報をプレゼンする消費者たちに向けた番組で、企業間の権利問題が解決したことを一緒に喜びましょうというメッセージが全面に押し出された内容に驚いたくらいです。

そりゃあ、まあ、大変だったんだと思います。私には想像できないほどの苦労があったと想像できますが、でも、それは私には関係ない話です。なぜなら、私はいち消費者であり、企業の都合を忖度する必要が無いと考えるからです。企業努力はその企業が得をするために行われるものです。その努力を褒めて、私になにかしらの得があるのだとしたら、そりゃ私も褒めますが・・・。

なにが言いたいかといいますと、今回のソラ参戦の発表で喜んでいる人たち、テンション凄いアガってる人たち、やたら桜井政博氏と任天堂を褒める人たちは、消費者の立場であるにも関わらず、企業の苦労を内面化し、その苦労を疑似体験すること自体が消費活動と連続したものになっているのではないか、そしてそれを企業自体が自覚的にコントロールしているのではないか、ということです。

今回のソラ参戦の発表は、どのような方向でプレゼンをすると効果的かを考えた上で設計されたものだと考えてみましょう。そうすると、任天堂側が「企業間の権利関係の問題の解決」というストーリーを全面に押し出すことが、宣伝として効果がある、という判断をし、あの番組を制作したといえます。これは私の推測でしかありませんが、任天堂だって一企業です、利益を追求していると考えれば不自然ではありません。そもそもの話として、企業間の権利関係に問題が生じるのは、お互いの企業が利益を護り求めるためです。そしてそれは、私たち消費者には、一切関係のないことのはずです。

しかし、そのような企業の『都合』を内面化した態度も、私自身理解できないわけではありません。MCUマーベル・シネマティック・ユニバース)では、スパイダーマンの権利を巡って、SONYとMARVELが争い、和解へといたったニュースに胸をなでおろしたりもしました。ファン心理として、(企業の都合で楽しみが減らなくて)良かった・・・と思ったりもします。ですが、SONYありがとう、MARVELがんばった!!とここでなるのは、流石にへりくだり過ぎだと感じたりはします。
昨今のエンターテイメントは企業の都合に消費者が振り回されすぎているのかもしれません。それはキャンセルカルチャーなども関係していそうですが話がややこしくなるのでここでは一旦置いておきますが、振り回されすぎた結果、消費者として自身の立場を下げ、好きな作品やそれを提供する企業を敬いすぎてはいないだろうか、と今回のソラ参戦の発表で改めて考えました。そして、そんな消費者は淫らだとも。

私は、もっとわがままで、冷たい消費者でありたいと思うんですが、でもこれからはそういう消費を促されていくんだろうなと、暗い気持ちにもなりますが、仕方がないことです。淫らだと悪いとかでもないですしね。